押尾コータローがメジャーデビューしてからだろうか、ここ数年アコースティック、とりわけフィンガーピッキングの世界が熱い。フィンガーピッキングとは、身体の一部である指先を使って直接音を紡ぎ出す演奏スタイルで、より自然な音色や響きが生まれるのが特徴である。
その少し前、それまでマイナーだったクラシックギターが村治佳織を中心に一躍脚光を浴びたが、それに続く流れなのだろうか。押尾コータローなんて最近タワーレコードではPOPSにカテゴライズされCDが並んでいる。
先週一冊の本を買った。
「フィンガーピッキングスタイルで楽しむ極楽ソロギターサウンド」
国内外の著名フィンガーピッキング奏者のスタイルやbiographyが纏めてあり、僕の知らないプレイヤーも何人も載っていたので興味と知識欲から思わず買ってしまった。
プレイヤーのリズム、サウンド、ピッキング、フィンガリング、コードワーク、フレージングの6項目についてのコピー難易度が5段階レーダーチャートで掲載されていた。コピー難易度が高いとはつまり、「これどうやって弾いてるの?」度が高いということ。テクニックが必要ということである。
最近日本ソロ・ギター界では小沼ようすけの人気が上昇中。彼のチャートは平均3.5というところ。ベテランの渡辺香津美はサウンド以外は4という難易度。この人の演奏は渋みがあって好みだ。そして、押尾コータローは流石、ピッキングが5。他もサウンド以外は4という高難易度。
ここまではなんというか「一般的な天才の領域」という感じがする。しかし、ここから「本物の天才」が登場する。まずはパコ・デ・ルシア。サウンド以外最高の5!パコはフラメンコギタリストで僕も大学の頃から知ってる。CDやDVDも持っている。東京で1万円のコンサートにも行った。パコの演奏はとにかく神がかっている。誰にも真似なんて出来ない。業界では100年に一人の天才と言われている。
しかし、パコ・デ・ルシアが最高だろう、と思ってページをめくって驚いた。なんとオール5がいる!誰だ??
そこには、、、、Michael Hedges(マイケル・ヘッジズ) の名があった。
知ってる、、、ウィンダム・ヒル・レーベルのプレイヤーだ。しかし注目して音を聴いたことは無かった。
更に、他のプレイヤーの説明を読むと多くのプレイヤーがヘッジズに影響を受けているのが分かった。ウィンダム・ヒル・レーベルの創始者ウィル・アッカーマンが「マジックだ!」と叫び、押尾コータローが憧れるというその演奏とは一体どんなものなのか?
ということで、今日、、、買ってしまった。ヘッジズのベスト版ともいえる「BEYOND BOUNDARIES」。
1,2曲目と聴いてみて感じたのは、典型的ウィンダム・ヒル・サウンドだということ。ヘッジズのCDと知らずに聴いたとしてもそう感じただろう。大学の頃よく聴いていたウィル・アッカーマンと同じ感じだった。あまり新鮮味を感じなかったというのが正直なところだ。ところが5曲目の「リチュアル・ダンス」を聴いて驚く。押尾コータローの代表曲「HARD RAIN」にそっくりなのだ。いや、ヘッジズはすでに97年に他界しており、もちろん押尾コータローのほうがヘッジズに似ているのだが。押尾がドラマチックにHARD RAINを弾くのに対し、ヘッジズはさらりと難曲を弾いている。押尾コータローは個人的に好きなのだが、正直次元の違いを感じた。演奏もすばらしいが、こういうギターの世界を初めて作り出したこと自体が確かに天才的だった。
ヘッジズの音楽が押尾コータローに影響し、その押尾は今日本のソロ・アコースティックギタリストの若手代表格と目されている。今後も押尾コータローを中心にヘッジズにインスパイアされた楽曲がこの日本でも生まれてくるだろう。その源となったヘッジズを知ることができたのは収穫であった。
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385 on 今、フィンガーピッキングが熱い!: ほほう、勉強になる
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