毎週日曜日、楽しみにしている番組がある。
「情熱大陸」
見ている人も多いのではないだろうか。
僕は見始めて3,4年くらいだが、この1年はDVDレコーダーにほとんど録画している。
”ほとんど”と書いたのは、時々ナイター延長などで直前の番組である「ウルルン」とかいう二・三流のタレントが安っぽい感動を押し売りするような番組が録画されてしまうことがあるためだ。その場合は無論即消去する。
取材される人物の専門分野は様々で、世代もバラバラ。その道でメジャーであったり異端児だったりもするが、共通して言えるのが必ずその人なりの”スピリット”を持ち全うしているという点だ。
そういう彼ら彼女らに僕は惹きつけられてやまない。
強い思い。信念に基づく行動。もはやそれを意識することなく自然に纏い”境地”に立つ人。
そういう彼らの生き様に共感し、時に感動すら覚えることもある。
前置きが長くなったが、昨日は注目していた人物が登場した。
荒井裕樹、30歳。弁護士。
僕は以前研究所で特許を書いたり数年前に知的財産権について勉強していた時期があったので、青色発光ダイオードなどの職務発明訴訟などで有名だった升永弁護士のことは新聞などで注目していた。あの中村教授が全幅の信頼を置く知財のエキスパート。荒井氏はその右腕の若い弁護士である。
番組の冒頭、荒井氏は「異能の人」と呼ばれる弁護士で、その活躍は同世代で群を抜き、入社3年目の20代の頃から年収は1億円を超えるというフリがあった。
僕より何歳か年下で快刀乱麻を断つ活躍を見せる荒井氏とは一体どんなもの凄い人なんだろう?
しかし現れた人物は僕の予想していた「論理を立て板に水のごとく語り相手を言葉でなぎ倒すクールな人」ではなかった。決して饒舌ではないが、頭の中で伝えたいことを考えながら一言一言言葉を選んで淡々と話をする人だった。会話には交渉のエキスパートとしては幾分の地味さを感じたものの、眼光には力があり表情には自信がみなぎっていることに気づいた。
異能の人と呼ばれる彼だが、綿密で地味な調査、根拠に基づく論理構成、相手に分かって貰うための資料作り、、、そしてそのテレビ映えしない作業について、誇張することなく包み隠すことなく語る世俗的な”無駄”のなさ。異能と呼ばれる人を支えるものは実は以外にも地味な要素がほとんどだった。それが結果として、本質を見抜き、相手の理論の弱点を見つけ、パズルのように論理を組み立て、交渉に打ち勝つことに繋がっている。
もう一つは、今の彼を導くこととなった升永弁護士の裁判準備資料に深い創造性を感じ取ったというアンテナの鋭さが印象に残った。
今後益々注目を浴びていくであろう知財訴訟の時代を担っていく一人であることは間違いない。今後も注目の一人だ。